覚書

好きな事用 主に映画、小説、漫画など

9冊目「君の膵臓を食べたい」住野よる

さわやかな西尾維新系、と勝手に思っています。キャラ化というか、デフォルメははげしめ。でもラノベほど文章が雑なわけではなく、とても丁寧に書き込まれている印象です。

主人公は根暗な高校生。ボーイミーツガールです。恋愛。青春。闘病。君と会えたから僕は人と関わるこを知ったんだ系。

わたしはお涙ちょうだいの闘病系の話は苦手でわりと倦厭してきたし、読んでも基本的に同じオチのように感じてしまうんですが、これは違いました。

とても良い終わり方だった。仕掛けとか、文体とかキャラとか、そういうのは好み別れる感じだし、わたし自身好きかと言われるとすごく好きな文章でもキャラでもないんだけど。
結末がすごかったなあ。
結末が。
おおかみこどもの雨と雪を思い出しました。あれもよかったなあ。

命というものの捉え方なのかもしれません。

8冊目「何者」朝井リョウ

桐島、部活やめるってよ」のお方です。この作者の作品としては「何者」を先に読み、ハマりました。確か映像化される予定があったはず。
綿矢りさが、期待の新人!!!!斬新!!!!て芥川賞とって「インストール」読んだときは、なんじゃこりゃ、話題性だけかもしかして?と悲しくなりましたが、朝井リョウには、ハマりました。


主人公は、就活をしている大学四年生。同じように就活をしている友人に囲まれて、うだうだ、いろいろ話したり、面接受けたり、恋愛したり。

うわーーー、て思いながら読みました。ツイッターわりとひんぱんにしてる人はみんな読んだらいいねん笑

傍観者のふりして外から眺めて客観的を装って。わたしたちは何者にもなれない。

というような。
就活してる学生さんたちも読んだらいいと思います。刺さるから!!!!笑

うまいなあ、と思いました。ワカモノの感覚を温存したまま文章うまいなんて、ずるいなあ、て。このあと追っかけるみたいに「桐島、部活やめるってよ」「武道館」「ときをかけるゆとり」も読みました。

いま二十代のひと全員におすすめです。

7冊目「春の庭」柴崎友香

というわけで今日読んだので「春の庭」。

芥川賞とったやつですね。

 

主人公はある取り壊しが決まったアパートに住む、ばついちの男の人。上の階にすむ「西さん」と知り合い、彼女を通して一冊の写真集と出会う。

と書くとなんか恋愛ものくさいですが、特にそんな要素ないです。

好みだけで言っていいなら、別に面白くなかったです。そもそも私は「うまいなあ」「ささるなあ」と唸るような作品が好きでして、自分がその世界でそわそわしたりわくわくするかどうかが面白さのポイントなんだけど、これは、始終「本を読んでいる」って感覚がずっとぬぐえませんでした。

 

そういう意味では本当に「文学作品」として受賞したのかなあ。

川上弘美とか江國香織とかと同じジャンルだと私は受け止めました。つまり私は苦手。。。笑

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6冊目「女王はかえらない」降田天

第13回このミステリーがすごい!大賞受賞作。

 
叙述トリックってやつですね。歌野省午「葉桜の季節に君を想うこと」的な。乾くるみイニシエーション・ラブ」的な。
叙述らしい、と聞いていたので、わりと気を引き締めて読んでましたけど、見破るには読者への材料は少なかったかなあ。違和感はちょこちょこあるんですが、可能性が多すぎて読者が真実をビシッと言い当てるのはちょっと難しいような。
どちらかというと、ミステリーを楽しむというよりは、小学校クラスで起こりうる、こう、無邪気で残酷な、いじめ。いじめという名前をつける一歩手前くらいの、あの無垢な迫害。
これに描かれる雰囲気にピンとこない方は、素敵な小学校時代を過ごしたんだろうなあ、て感じです笑
わたしも別に小学校は快適だったけど、この純真な敵愾心というか、素直な排他行動は、常に周りにあった気がします。
 
だからネットで調べても、評判は賛否両論でした。笑
てっきり「暗黒女子」の作者?と思ったけど、文体は違うし、暗黒女子のほうがいろいろ人間がデフォルメされてた。
エンターテインメント的には「暗黒女子」のほうが単純にオモシロー!て感じ。
こっには、あーーーー、て刺されながら読みました。
 
ミステリーとして、ほう!てなるかと言われるとわたしはあんまり。そもそもミステリー要素好きかと言われるとそうでもないからかも。

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5冊目「教場」長岡弘樹

昨年度、本屋大賞にノミネートされていた作品。

 
舞台は警察学校。オムニバス形式です。ひとつひとつの話は短く完結しているから、イッキ読みじゃなくても大丈夫。
 
結論いうと、面白かったです。ドキドキワクワク!というよりも、こう、人間ってなんていうか、汚くて惨めだけど振り切っちゃうと強いよね、という。それを知り尽くしている教官が、またかっこいい。その教官が、活躍しまくるんだけど、描かれる量としてはすごく少なくて、もどかしいくらい。それがまたにくい。この人はどんなひとなのかなあ、すごいひとなんだろうなあ、てずっと気になってしまう。
 
ハードボイルドが何かよくわかってないけど、これはハードボイルド!?と思いました笑
 
先が気になって手が止まらない、というより、じっとり手に汗かきながら、唸りつつ読む、という感じでした。
「傍聞き」で日本推理作家協会賞受賞のひと。気になってた作品だったので、次はコッチ読んでみよう。

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4冊目「世界から猫が消えたなら」川村元気

はやりにのって。

 

この作家、テレビ関係のお仕事のひとだかで、小説が本業って感じではないようです。基本作家がどんな人かとかあんまり気にせず読みますけど、読みながら「? あんまり文章上手じゃねーぞ」と思ってしまって、調べたら、ああ、なるほどという。

 

小説って「話は面白いけどなんか文はいまいち」な人がたまにいませんか(個人的には、大大大好きだけど、五十嵐貴久さんもこのたぐい笑)。

これもそうだな、と思いました。

 

主人公は、脳腫瘍と診断されて、明日の命をも知れない青年。告知されてガーンとなっているところに、悪魔というか死神といか、なんかそういうのに出会う。

そいつはいう。お前の大切なものを世界から消す代わりに、一日寿命を延ばしてやると。で、その消すものってのが大切なものなわけですから、それにまつわる思い出や、自分の人生にとってどんな意味があったのかとかをひたすら思う、ていう泣くやろこれ絶対泣くやろっていう展開です。母、父、元恋人、友達。

悲壮感はそんなになくて、やわらかい文体だからか、すっきり悲しい感じです。さわやかともいえるかなあ。いとうせいこうの「想像ラヂオ」に似てる。

 

ただ上にも書きましたが、文章がすごいうまいかというとそんなになので、私はじんわり泣けたなあ、くらいで号泣まではいかず。「想像ラヂオ」と同じでした。

たぶん、ふだん本読まない人が手に取って、ああ、いい話を読んだなあと感じられる本なんだろうな、と思いました。

ちなみに、私が話をめっちゃ面白いと思うわけではないけれど、文が上手すぎていつももだえ苦しむのが村上春樹です。笑

 

 

 

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3冊目「ダブル」深町秋生

「果てしなき渇き」が面白かったーという記憶ぐらいしか、この作者に関してはありませんが、これも同じようなアンダーグラウンドな世界のお話。

 
主人公は、マフィア?というか暴力団ではないけど、なんか、そういう危ない組織で働く中年のおじさんなんだけど、まあこのひとがかっこいい。
殴るし殺すし危ないんだけどな。なんかかっこいいんだよなあ。かっこよく描かれてるわけではない感じがするけど、でもまあかっこいいんです。
心から応援したくはないんだけど笑、気がつけば応援してて、いやいやこういう世界は怖いですから!嫌いですから!と思いながらも、、、。
てくらいに、上手です。
 
「果てしなき渇き」もすんごい面白かったけど、これもよかったです。
ひとに勧めるかというと、複雑ですが笑
果てしなき〜のときも、知り合いは怖い痛い面白くなかった、ていうてたからなあ。
 
暴力ネタアングラネタ平気な方はぜひ。
ちなみに果てしなき~は「渇き。」というタイトルで映画にもなってます。
小松菜奈ちゃん最高でした。
 

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