23冊目「八日目の蝉」角田光代
角田光代さんは「十八の夏」読んで、わりと重たい人間関係描くひとだなーと思っていましたが、これもまた例にもれず。
主人公は、どちらととってもいいですが、お母さんか、娘です。不倫の末に、相手の男の生まれたての娘を誘拐してしまった女の人が、子育てするんです。文字通りその赤ちゃんを、子育てする。子供は、もちろんお母さんだと思って生きていく。
見つかりそうになったり、貧しい思いをしたり、新興宗教にはまったり、でもなんとか親子を続けていく。娘にしたら、間違いなくお母さんはお母さんなんだけど。
難しいテーマというか、悪いのはそりゃあその女の人が悪い。
でも親子が始まってしまったら親子でいるしかないというか、説明しづらい。とにかく親子って何だろう、母親って何だろう、根本的に考えてしまう作品でした。
ぐさっとささるという意味で、とても面白かったです。
さわやかに心打たれる派内でもないし、ハッピーエンドかといわれるとそんなこともなくて、娘側の気持ちになるとやりきれないし、珍しく事件の終わった後の話まで描かれているか、消化しきれない思いは残ります。
でもだからこそ、いい作品なんだろうなと思いました。
八日目の蝉【電子書籍】[ 角田光代 ]
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