覚書

好きな事用 主に映画、小説、漫画など

23冊目「八日目の蝉」角田光代

角田光代さんは「十八の夏」読んで、わりと重たい人間関係描くひとだなーと思っていましたが、これもまた例にもれず。

 

主人公は、どちらととってもいいですが、お母さんか、娘です。不倫の末に、相手の男の生まれたての娘を誘拐してしまった女の人が、子育てするんです。文字通りその赤ちゃんを、子育てする。子供は、もちろんお母さんだと思って生きていく。

見つかりそうになったり、貧しい思いをしたり、新興宗教にはまったり、でもなんとか親子を続けていく。娘にしたら、間違いなくお母さんはお母さんなんだけど。

難しいテーマというか、悪いのはそりゃあその女の人が悪い。

でも親子が始まってしまったら親子でいるしかないというか、説明しづらい。とにかく親子って何だろう、母親って何だろう、根本的に考えてしまう作品でした。

 

ぐさっとささるという意味で、とても面白かったです。

さわやかに心打たれる派内でもないし、ハッピーエンドかといわれるとそんなこともなくて、娘側の気持ちになるとやりきれないし、珍しく事件の終わった後の話まで描かれているか、消化しきれない思いは残ります。

でもだからこそ、いい作品なんだろうなと思いました。

井上真央永作博美が主演で映画になっています。


 

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22冊目「かわいい結婚」山内マリコ

結婚したての私に、図書館の司書さんが勧めてくれた本。

でも結婚素敵☆本ではない笑

短編集です。いろんな結婚の話。いろんな主人公。いろんな夫婦。なれそめ。喧嘩。悩み。ぐだぐだ。 

どっちかっつーと「こんなはずじゃなかったァァァァアアア」ていう結婚話たちです。でも笑えた。すごい笑えた。ライトな女性のエッセイテイスト。

文も平易だし、なんなら字もちょっと大きいから私は30分ちょっとで読み終わったけど、始終にやにやにやしてしまいました。

結婚に憧れがある人が読んだら、ちょっと悲しくなる、かも。笑

 

いやまあそんな感じでなんだかんだグダグダいいながら続いていくんじゃないの、と思わせてくれるようなお話でした。

女性におすすめ!笑

 

 


 

21冊目「夏の裁断」島本理生

謎のブームが来ない限り、恋愛恋愛した話は基本読まないわたし。江國香織とか川上弘美とか苦手だと前書きましたが、女性ならではの文体が苦手なんです。

ん? 何が言いたかったの? ていうのが多い気がして。川上未映子とか、綿矢りさとか。
 
そんなわたしですが何故か島本理生の恋愛小説はねーーー、好きなんですよねーーーー。
 
 
基本恋愛ものも、たぶん好きなんですよね。こだわり強いから、苦手も多いんだろなあ。
島本さんのは、刺さります。キュンキュンではない。笑
ぐっさあーーーーーって。昔の、なんか自分の恋愛してた心の、柔らかくて隠しておきたい恥ずかしいところにかけてある布団をガバーッて剥がされる感じです。
うがあーーーって言いながら、転げ回りたくなる感じ。実際はジトーっと読んでるんですけど。
 
とにかく、わたしはザ・恋愛小説で、おすすめってほぼないんですけど、島本さんはど真ん中でおすすめします。
 
どんな話かは説明できん!笑
若い女のひとが、恋愛のことでジタバタします。静かに、ジタバタ。
 
ちなみに島本さんのは最高作は「ナラタージュ」だと思っている。

 

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20冊目「夜のピクニック」恩田陸

六番目の小夜子」とか「月の裏側」を読んだときは「????」にあふれてて笑

まさかこんなにビッグになるとは思っていませんでした。教科書に名前載ってるし、入試問題でもたびたび使われていますね、恩田陸さん。

 

主人公の高校では、死ぬほど歩き続けるイベントが毎年恒例であって、例にもれずそれに参加します。ただひたすら歩きながら、友達、恋愛、家族、いろいろなことに思いを馳せる主人公たち。

何が起こるって別に何も起こりません。

はじめ設定を聞いたときは、スティーブンキングの「死のロングウォーク」を想像してしまいました。恩田陸、私はホラーのイメージが強いので。ちなみに死の~はあのバトルロワイヤルの元ネタになったといわれてるやつですね。怖いっていうか、悲しい話。

 

もちろん「夜のピクニック」はそんなホラーではないです。本当にただひたすら歩きながら、青春する高校生たちの話です。

恩田陸仕様なので、過激な演出もなく、しっとりと寄り添ってくるような感情の波を味わうことができます。高校生たちのお話だけど、どちらかというと「大人が高校生時代とか人生をそっと考えながら読む」ようなお話だなあと思いました。

ちなみに多部未華子主演で映画になっているみたいですね。

 

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19冊目「本日はお日柄もよく」原田マハ

カフーを待ちわびて」が一番有名な、原田マハ。映画にもなってました。

 

お仕事小説、と書いてあって、お仕事嫌いなわたしは(笑)避けてたんですが、なんかしらんけどもうわんわん泣きながら読みました。

職場の後輩にこの本を進められて、はじめの数ページで泣いて、あ、こらあかん家で読もう、と思いました。

お涙ちょうだい感動系ではないんですけど。

なんかよくわかんないくらい泣きました。

主人公は若いOLさん。知り合いの結婚式で、びっくりするほどすばらしいスピーチに出会って、そのスピーチを作った女性に興味を持つようになる。スピーチの奥深さももちろんのこと、働くって、恋愛って、生きるって、伝えるって、難しいけれど、立ち向かうしかない。

 

たったひとつのよきもののために。

 

うろ覚えですみません。笑

この人の文章自体はわりとあっさりさっくりしてて、読みやすいです。もともと絵画?美術系のお仕事してた人だとかで、文芸文芸していないというか、どちらかというと平易な文章です。キャラクターもわかりやすい。

だからこそ手に取りやすいと思います。

 

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18冊目「火の粉」雫井脩介

ユースケサンタマリア主演でドラマになってましたね。先週の土曜日?最終回でした。私の周りでもこわいこわいとみんな言いながら観てた記憶が。

 

ちなみに小説のほうが普通に怖いですからね!!!笑

ドラマはなんだかいい感じに終わっていましたが。

 

こわいこわいこわいこわいと思いながら読んだことだけ強烈に覚えています。ホラー好きと前の記事で書きましたけど、恐ろしいのは生きている人間だと思う小説です。読んだのは高校生の時で、当時はサイコパスなんて単語知りませんでしたが、つまりそういうことなんだろうな、て。

 

主人公は、裁判官になるのかな。この人、というよりある一家のお話です。ある裁判官が、無罪にした男の人がいて。その人の周りには、ちらちら死の気配があるんですけど、本人はなんだかいい人っぽい。でもやっぱりぽつぽつ人が死ぬ。

ていう。

あれです、貴志祐介の「悪の教典」と同じように区分できるのではないかと。

あそこまでぶっ飛んでないですけど、その分怖いです。ひたひたと日常生活に寄り添ってくる怖さ。読み進めれば「火の粉」の意味も分かってくるのでは。

 

人間って怖ぇぇぇええって思いたい人はぜひ。

 

 


 

17冊目「百舌の叫ぶ夜」逢坂剛

有名なシリーズですね。映画にもなってるしドラマにもなってる。西島秀俊さんが有名になった作品な気がします。倉阪役なのかなあ。

 
主人公は、とりあえず倉阪。女刑事かもしれないしおっさん刑事かもしれないけど。どんな立場から見てもいい。とにかく警察モノです。
警察モノ、というとこう、正義の名の下にな感じがするんだけど、どうもこれは違います。悪役もいるし、主人公側はもちろん警察サイドなんだけど、清く正しく明るいかというとまったく違う。
倉阪の奥さんが、爆死します。どうもきな臭い死に方。誰に殺されたのか。はたまた奥さんが過激派の一味だったのか。同時に、モズと呼ばれる殺し屋の影がちらつきはじめる。
 
まあひたすらにバイオレンスです。恋愛も描かれてるんだけど、こんなに殺伐とした獣っぽい恋愛もなかなかない。笑
圧倒的な世界観です。
スッキリ爽快はしないので、こう、警察が活躍してかっこよく悪者を倒すところを期待して読んではいけません。
 
でもわたしは好きです。面白かったです。三作読んだかな。たしか、幻の翼、砕かれた鍵、に続くはず。
 
映画も観たいなあ。